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賃貸経営をしていると、家賃滞納という頭を悩まされる問題が起こることがあります。その割合は全体でどの程度なのでしょうか。本記事ではその家賃滞納率がどの程度あるのか解説し、賃貸経営者の方が打った対応策について紹介します。
賃貸住宅に住むと支払う必要のある家賃について、賃貸住宅に住んでいる人全体の中から、家賃を滞納している人の割合を示したものです。
また、同じ「家賃を滞納した」であっても、自動引き落とし口座の残高不足によりうっかり滞納や、生活が厳しくなり、どうしても家賃を支払えなかった人もいるでしょう。賃貸住宅を経営しておこうと思えば、こうした数字に敏感になる必要があります。
賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに更新・公開している「賃貸住宅市場景況感調査」によると、月初の段階で家賃を滞納していた人の割合は全体の6.5%。おおよそ16戸に1戸の割合で存在していることが分かりました。
月初ということもあり、家賃を自動引き落としにしている方が口座への振り込みを失念し、残高不足で引き落とされなかったケースがカウントされ、結果としてやや高い滞納率になっているようです。
総戸数100戸の比較的大きなマンションであれば、全体で6戸か7戸は家賃を滞納している計算になります。単なるミスによる家賃滞納であれば、気づけばすぐに入金してくれる人いるとはいえ、連絡や入金確認の手間はかかってしまいます。
次に、家賃の滞納状態がその月の月末まで続いた人の割合は2.6%、月末で2カ月連続滞納した人の割合は1.4%となっています。両者とも、1カ月以上家賃を滞納しているため、引き落とし口座への入金ミスだけを理由とした家賃滞納とは考えにくいでしょう。
また、前者の場合は「給料が入ってから入金しようと」と支払う意志・能力がある一方、後者については2カ月丸々家賃を滞納しているので、今後の支払いがかなり怪しい状態だといえます。2ヶ月連続滞納者は、全体の1.4%なのでで、およそ71戸に1戸、総戸数100戸のマンションであれば1戸か2戸はそうした危険信号の入居者がいる計算になります。
一般的な賃貸契約では、家賃の滞納機関が3カ月以上になると法的手段が講じられ、強制退去となる可能性があります。
2カ月以上の滞納となると、入居者側も滞納分の家賃に加えて延滞金を支払う可能性があり、どんどん支払いが厳しくなるでしょう。借りている人の1.4%はいるという事実を踏まえた上で、賃貸住宅の経営者は家賃債務保証を利用してしっかり対策していくことが大切です。
家賃保証とは、入居者が毎月家賃と同時に保証料を支払い、万が一入居者が家賃を滞納した場合には、保証会社が一定の範囲内で立て替える保証です。
オーナーは自己負担するわけでもなく、万が一入居者が家賃を支払わなかった場合でも収益が確保できるため、ありがたい保証だと言えます。ただし、保険料が発生するため毎月の負担が大きくなり、入居者の獲得が難しくなる可能性もゼロではありません。
以前は家賃債務保証ではなく、親・身内などを連帯保証人つけて、仮に家賃の支払いが滞ったとしても連帯保証人から取り立てる形が一般的でした。現在は、核家族化の進展をはじめとする社会状況の変化により、家賃債務保証が利用されるようになってきています。
国土交通省の「家賃債務保証の現状」によると、2014年度において、賃貸借契約の約56%が家賃債務保証を利用している調査結果がでています。収益の確保のために家賃保証が活用されてきているので、検討してみても良い対策だといえるでしょう。